「大石、大丈夫なのか?あまり無理はしないほうがいい。」 「どうした?急に・・・。」 部活に行くと不意に手塚に声をかけられて、え?という感じだったけれど、そうだ、5時間目は1組と共同の選択授業で、手塚と同じ教科を取っていたんだった。 「あ、いや、1時間ゆっくり休んだから。もう大丈夫さ。」 ごめん。手塚。心配されているのが分かって心の中で謝ったけど、心が痛い。 「連絡なしに休んだって聞いたよ。相当具合悪かったんじゃないの?」 不二にもそんな風に言われた。 「本当に?部活やって平気なの?でも、何で不二がそんなことまで知ってるんだよっ。」 「いいじゃない、そんなこと。」 俺は今まで知らなかったのに〜っとなぜかそのことが気に入らないらしい英二も心配そうに顔を覗き込んでた。 「今日はゆっくり休んだ方がいいんじゃない?」 タカさんも本当に心配そうに俺の事を見ていて、ずっしりと心が重くなった。 「何だか、表情が暗くなったみたいだけど。また、具合悪くなった?」 表情に出てしまったのか、乾に指摘されて、再びみんなに心配そうに見られた。 このままみんなに誤解をさせておくのは耐えられないと思うけれど、まさか小坂田さんの寝顔が可愛くて見ていたら起こすに起こせなくなったとは言えるはずもなく、どう言ったものかと思案していると。 いつのまに来ていたのか、越前が「そういえば・・・」と口を開いた。 みんなの視線が越前の方へ行ってホッと一息ついたのもつかの間で。 「なんか、小坂田も5時間目無断で休んでたみたいですよ?」 その一言で、一瞬沈黙が流れた。 「・・・みんな、心配させてごめん。」 恐る恐るみんなを見ると、手塚は「そうか・・・。」と考え込み、不二は「へぇ・・そうだったんだぁ・・。」と妙に笑顔でつぶやき、乾はなにやらつぶやきながら例のノートにメモをしていた。 「なんだ、彼女に付き添ってただけなんだー。それなら、一言先生に断っておけばいいのに。」 「そんなに焦っちゃうなんてよっぽど心配だったんだね。小坂田さんの具合はもういいの?」 英二とタカさんは俺がなんともなかったことに安心してくれていたみたいで、とても有難かった。 余計に悪い事をしたなと思ったけれど。 「まあ・・そんなこともあるだろう・・・。そろそろ練習だ。」 「ふーん。なんか手塚って大石には甘いよね。・・・ま、いっか。ところで、乾。どんなデータが取れたのかな?」 「いろいろと・・・ね。」 不二はまだ何か言いたそうでそれも少し気になったけど、乾のノートに何が記されたのかと考えるとそっちの方が気になって仕方がない。 だけど、みんなに心配されていた時よりは気分がずっとすっきりしている事に気がついた。 そう考えると越前に感謝するべきなのかもしれないな。 「さっきはありがとう。」 「別に。礼を言われるような事はしてないっスけど?」 素っ気なく言い返されただけだったけど、とにかくこれで気持ちよく練習を始められそうだ。 |
桂木、悶え中です。 ああ、なんてなんてかわいいの、副部長! 皆に心配されて、でも本当の事が言えなくて、罪悪感が増幅していく善人っぷりがたまらなく素敵です(T_T)! そして副部長を心配する皆も素敵! 皆に愛される副部長、と言う図式に私はとっても弱いので、もうクラクラしてました。皆、副部長を愛してくれてありがとう! 特に手塚部長に心配されていると、メロメロです、私っ(笑)>趣味に走りまくってます。 結衣さん、本当に素敵すぎるSS、ありがとうございました! 結衣さんの素敵サイトはこちら→Raindrop Traces |